オラがあんたの息子になったる

 

皆様こんにちは

LUKAでございます

 

 

先日私

久方ぶりに泣くほど

切ない事を目の当たりにした

 

もうね

切なくて切なくて涙が出た

 

 

もうどのくらい涙を流していない事か

実家で飼っていた猫のタマ様が天に召された時には

号泣した私だけれど

それ以降もちろん一度も泣いた事は無いし

 

それ以前に至っては

10年くらい泣いていなかった

 

 

一人で生活していると

泣く程悲しい出来事なんてほぼ無いんですよね

 

自分のご機嫌を取るのは自分でしかないし

そもそも涙が出るほど感情を揺さぶられる出来事なんて

起きようがない

 

泣くほど感情を揺さぶられる事なんて

あくまでも自分以外の誰かと接触をする事でしか

起きえないんじゃないかと思っている

 

 

泣くほどイライラする事も

泣くほど切ない事も

泣くほど悲しい事も

一人だったら起きるはずもない

 

 

 

これは先日

集金業務でお出かけをした時の事

 

私が集金に行く場所というのは

ほとんどの場合

利便性の悪い場所に住んでいるお年寄りの家

というパターンが多い

 

 

今回もそのパターンで

表札を見ながらようやく辿り着いた家だった

 

 

 

表札の名前を見ると

男性の名前がフルネームで書かれている

数分前に「集金に来て欲しい」と電話をよこしたのは

お婆ちゃんだったから

夫婦で暮らしているのかな?

 

インターホンを鳴らして大きな声で挨拶をする

 

 

私「すみませーん!

  先程お電話を頂いた〇〇会社です~!」

 

婆「はいはいー!」

 

 

中から出てきたのは年配のお婆ちゃん

 

年齢は80代くらいかなぁ

 

 

玄関には何やら猫のぬいぐるみが複数体飾られている

 

 

コロナの影響もあるので

玄関の中に入ってしまう事はせず

ドアを開けたそこから話しかける

 

 

私「こんにちはー!

  集金にお伺いしました~

  この度はご利用ありがとうございましたー!」

 

婆「あぁ良いのよどうぞ入って入って!」

 

 

お婆ちゃんに促されて玄関の中まで入る

 

玄関にはお爺ちゃんとお婆ちゃんの所有物と見られる靴が

たくさん並べられている

 

ただ

 

お爺ちゃんの靴と思われる靴だけは

綺麗に玄関の隅に寄せて並べられており

お婆ちゃんの靴だけが

履きやすい位置に並んでいた

 

 

お婆ちゃんが再び玄関に現れ

お札を数えながらぽつぽつと話し始める

 

 

婆「ちゃんとあるかもう一度数えるわね

  ・・・それにしても急に集金に来て欲しいなんて電話して

  ごめんなさいねぇ」

 

私「いえいえ!」

 

婆「先日は本当に助かったのよ・・・!

  来てくださった方には感謝しかないわ」

 

 

そうですか!?

 

ありがとうございます!

また何かあった時にはご連絡くださいね!

 

えーっと領収証を出してー

 

 

婆「先月末に主人が他界してね」

 

 

・・・・・・・・・え?

 

 

突然の重い告白に思わず顔を上げて

お婆ちゃんを見つめる

 

 

今なんて?

 

 

婆「それでバタバタしてたら

  それから一週間も経たないうちに

  20年以上飼ってた猫も死んじゃってねぇ・・・」

 

 

ちょ・・・

 

ば・・・婆ちゃん!!!!?

 

 

集金先で年配の人と会話をする機会が多く

よく長話になる事がある

 

お年寄りが好きな私にとって

お年寄りとそんな風に会話を出来るというのは

なかなかどうして楽しいものである

 

 

だけど

 

婆ちゃん・・・!!!?

 

 

私「・・・・・・・・・・・!?」

 

婆「もう疲れ切ってる状態の所に

  トイレが壊れて使えなくなっちゃって

  どうしたらいいのか分からなかったのよ・・・

  いままでずっと一人でなんて生活してなかったから

  ダメね・・・

  こういう時焦っちゃって」

 

 

ばあちゃーーーーーーん!!!

 

 

ハッ・・・!

 

だからか!

 

だから玄関に並んでいる靴が

男性の物と思われる靴だけ

綺麗に端に並べられている状態なのか・・・!

 

まだ亡くなって日が浅いから

片付ける所まではいっていなくて

とりあえず端に寄せているんだ・・・!

 

 

切ねぇ!

表札の名前がまだ旦那さんの名前だっていう事もまた切ねぇ!

 

そして

猫を愛しているがゆえに

玄関に猫のぬいぐるみが複数体並べられている

と・・・!

 

 

なのに踏んだり蹴ったりでトイレが壊れたのか!

 

 

うぉぉおおーーーん!(号泣)

 

 

私「そ、そうだったんですか・・・!」

 

婆「主人はね

  遅かれ早かれみたいな状態が続いていたから

  ちょっと安心した部分もあったのよ

  だけどペットはダメねぇ・・・

  もう2週間くらい経ったけれど

  考える気力がわいてこないわ・・・

  一人で部屋に居るとぼーっとしちゃってねぇ・・・」

 

 

そうだね!!!?

 

私も親戚が死んでも涙の一つも出ない人間なのに

猫のタマ様が天に召された時は号泣したよ・・・!

 

 

婆「あの子は

  子供たちよりもずっと私に寄り添って

  一緒に生きてくれた子だったから・・・」

 

 

ばあちゃぁぁぁぁあーーーーん!!!!!

 

 

切なくて

思わずジワリと涙が滲んでくる

 

 

だからって

 

こういう時にかけるべき言葉は持ち合わせていない

 

 

このお婆ちゃんはこれから先

施設に入ったり何かしない限りは

きっと一人で生活をしていく事になるのだろう

 

どんな出来事も

自分で自分に折り合いをつけて

自分で乗り越えなきゃならないし

 

誰もがかけるような

「それは辛かったね」

「いつか忘れるから大丈夫」

なんて言葉がいかに無責任で

何にも相手の為になりゃしねぇ

という事は分かっている

 

 

「いつか忘れるから大丈夫」って言葉が

この世で一番納得がいかない言葉だ

 

何の保証があってそんな事言えるの?

人間には一生忘れられない出来事ってもんがあって

その人にとってその出来事がそれになる可能性だってあるんだけど?

 

 

相手を思えばこそ

何も言えない時だってある

 

それが正解かどうかは分からないけれど

私はこういう時

かけてあげられる言葉を何ひとつ持っちゃいない

 

私は貴女ではないから

貴女がこれからどうやって物を考えて行く事になるのか分からないし

寄り添って生きてあげられる訳じゃないから

何の根拠もない励ましもする事が出来ないんだ・・・

 

ごめんよ婆ちゃん・・・

 

 

ただただ心を強く持って生きてくれ・・・!

 

 

私「そう・・・だったん・・・ですか・・・(うるっ)」

 

婆「お金ちゃんとあると思うんだけど

  細かいのが無くてごめんなさいね」

 

私「あ!いえ大丈夫ですよ!

  ちゃんとおつり持ってきてるので!」

 

 

そして次の瞬間

 

 

衝撃のセリフが放たれた

 

 

婆「ついさっき細かいお金用意しようとして

  お財布無くしてる事に気付いたのよ」

 

 

はぁああああああああああ!!!!!?

 

 

ばあちゃぁぁぁああああああーーーん!!!!!?

 

 

あんた踏んだり蹴ったりじゃん

って思ってたけど

そんなレベルの話じゃなかったわ!

 

踏んだり蹴ったり殴ったりだよ!!!

 

 

思わず目に溜まった涙も引っ込む衝撃事実!!!

 

 

婆「なんぼ探しても無くてねぇ

  昨日病院へ行った時にきっと無くしたのね・・・

  あのお財布には病院の診察券とか

  そういうのがたくさん入ってたから困ってしまって」

 

私「え!!!?

  ちょ・・・それは大変だ!

  大丈夫ですか!?

  えっと・・・

  キャッシュカードとかそのたぐいの物があったら

  とりあえず管理してる会社に電話をして

  利用停止にして貰った方が良いですよね!?」

 

婆「あぁそうね・・・

  でもまだ時間が早いから・・・」

 

私「もう10時近いですよね!?

  ほとんどの場合もう電話繋がると思いますよ!?」

 

婆「あらそうなの??」

 

私「えっとそれから・・・

  病院の診察券は再発行して貰えばいいとして

  他に重要なカード類とかは・・・!」

 

 

ここからしばし

 

お婆ちゃんが紛失した財布の中身と

前日にお婆ちゃんが行った場所から

紛失した可能性がある場所を確認し

 

自分のポンコツ携帯電話で

連絡すべき場所と

財布が届いていないか確認する先の電話番号を調べて

メモ紙に書いてあげる作業を行った

 

 

婆「あぁ助かったわぁ

  きっと私疲れてたのね

  それでぼーっとしてるから

  お財布無くしちゃったんだわ・・・」

 

 

そりゃ疲れるでしょうね!!?

 

婆ちゃんのここ数週間は怒涛の展開のラッシュだったと思うよ!

悲しみの連続なんてもんじゃないし

今も失意の底に居るに違いねぇよ・・・!

 

それなのに

集金にやって来た私に対して

とっても愛想良くニコニコと会話をしてくれているその姿に

涙がちょちょぎれそうになるわ・・・!

 

 

うぅっ・・・お婆ちゃん・・・

お財布見つかると良いね・・・!

 

今が仕事中じゃなかったら

あたいも一緒に探してあげたい・・・

仕事が終わった後に訪問して助けてあげたい・・・

 

だけど仕事のお客様にそこまでして良いかどうかの線引きが

いまいち分からないんだ・・・

 

仕事で得た情報を元に

仕事時間外でお客さんと接触するのは

それが良い事であれ悪い事であれ

今の時代よろしくない事なんじゃないかと思うんだよね・・・

 

 

私「こっちに書いた連絡先が

  「カードの利用停止」をお願いする場所で

  こっちに書いた連絡先が

  「お財布が届いていないか」確認する場所です

  現金はダメだったとしても・・・

  見つかると良いですね・・・!」

 

婆「さっき財布無くしてるって気付いて息子に電話したら

  「面倒くせぇ」「諦めな」って言って電話切られちゃって

  本当に困ってたのよ・・・

  ありがとうねぇ」

 

私「・・・・・・・・・・・!!!」

 

 

ば・・・

 

 

ばあちゃぁぁあああああああああああーーーーん!!!