片付かない予感

 

皆様こんにちは

LUKAでございます

 

 

先日実家へ行った時の事

 

母が一枚のチラシを出して来た

 

 

母「これ見て

  『高価買取』だって」

 

 

渡されたチラシを見てみると

そこには

「貴金属・古切手・着物買い取ります!」の文字

 

どうやら出張査定のようなものが

近所にやって来ているらしく

それに興味津々のご様子

 

 

私「行く?」

 

母「んん?

  見せるだけならいいけど・・・」

 

 

母は以前から

あらゆる物をため込む習性がある生き物だ

 

まるでリスのように

宝物を大事に大事にしまっては

その存在を忘れたかのように新しい物をまたため込む

 

 

反して私は

あまり物を持たない主義であり

一年使わなかった=捨てて良い物

という認識で物をホイホイ捨てていく

 

 

引っ越しの度に荷物が増えて行く母

引っ越しの度に荷物が減って行く私

 

親子でこうも違うものなのか・・・

 

 

そして私は常日頃から言っていた

 

 

「要らないもん残して死ぬなよ

 金に変えれるものは金にかえて

 使い切ってから死んでくれ」

 

 

遺産相続で揉める!みたいな

大層な物があるような家ではないけれど

後処理(片付け)の面倒さを考えると

出来るなら本当に一切合切残さないで死んで頂きたい・・・!

 

 

私「見せるだけじゃねぇよ!

  引き取ってもらうんだよ・・・!

  着物とか色々あんだろ・・・!

  あの辺全部売ってしまえよ!」

 

母「嫌だよ!

  着物はあれ凄いんだよ!?

  良いやつなんだから!」

 

私「良いやつだから何なんだよ!

  使わないならゴミと一緒じゃねぇか!」

 

母「あんた・・・!

  酷いこと言うね・・・!?」

 

私「「いつかこれで何か作る」とか言ってたけど

  もうミシンもぶっ壊れて無いし

  それ以前にお前もう老眼で

  針に糸すら通せねぇだろ!」

 

母「それは確かにそうだけど

  そんな言い方しなくたって・・・!」

 

私「こうでも言わないと片付けないだろ!」

 

 

30分ほど食い下がった母だったが

ようやく観念したのか

 

 

壊れて石が無くなっている貴金属やら

消印が押された状態の切手やらを持って来た

 

 

私「な・・・なんだこの切手・・・

  消印押されて剥がされた状態だと

  価値なんかねぇぞ・・・?」

 

母「何言ってんのあんた!

  古い切手は凄い値段つくんだよ!?」

 

私「切手単体だとシートの状態で保存とか

  消印押されてるやつだとハガキの状態とかじゃないと

  駄目なんじゃなかった?

  しかもこの手のは収集家じゃない限り要らないから

  こういう査定とかでは価値無いと思うけど・・・」

 

母「良いの!

  もし高かったら売るの!」

 

 

え?

 

安かったらどうするの?

 

 

って言うか安いよ?

確実に安いよ?

 

むしろ

「ゴミに出すんでゴミ処理料下さい」

とか言われかねないよ?

 

かつて人から貰ったブランド物のアクセサリーを

そういう場所に売りに行って

アホみたいな金額で買い取られた事がある私だから言うけど

 

 

マジ二束三文だからね?

 

 

ゴミに出すお金が掛からなくて良かったぁ

って程度だからね?

 

 

押し入れにぎゅうぎゅうに詰め込まれていた

とんでもなく重い着物が入った箱を3箱と

まるでガラクタのような貴金属を車に積み込んだ私達

 

 

私「あの・・・ガラクタみたいなアクセサリーはさ・・・」

 

母「ガラクタ!?本物だよ!?

  K18って書いてあったでしょ!?」

 

 

・・・・・・K18って書いてあっても

それは・・・メッキだから・・・

 

 

母「これだって本物のダイヤだし!」

 

 

・・・ダイヤって言っても

それは・・・クズ石みたいなサイズだから・・・

 

 

これまでにも

 

「これは本物の水晶だ!」

と大きな透明のキラキラの物体を私に見せてきて

 

「温度が水晶じゃない

 これはガラスだ」

と言っても聞く耳持たず

 

「これは純金だ!」

と金色の指輪を私に見せてきて

 

「色がメッキだ」

と言っても聞く耳持たず

 

 

夢見がちな母に現実を見せてやるのには

丁度いい催しかも知れない・・・

 

 

 

こうして

査定会場へ到着した私達

 

 

早速

 

『現実』という処刑が始まった

 

 

男性「これはメッキ」

 

母「・・・・・・・・・・

  でもこれ!

  ついてるのはダイヤでしょう!?」

 

男性「あぁダイヤですよ

   ダイヤですけどこのサイズだと価値無いですね

   これは買い取り出来ません」

 

母「・・・・・・・・・・・」

 

男性「これもメッキ

   これもメッキ

   あぁーこれは純度低いけど

   まぁ・・・5,000円って所ですかね・・・」

 

母「え!?5,000円!?

  これ買った時そんな値段じゃ・・・!」

 

 

そういうもんなんだって・・・

 

 

母「でもこれ本物の石ですよね!?」

 

男性「あぁ石は本物ですよ

   でもこれには価値無いんでお返ししますよ

   土台から外して土台だけ5,000円で買い取る

   って事も出来ますけどどうします?」

 

母「えぇぇぇ・・・・

  これ!これは黒真珠!」

 

男性「これも外してお返ししますよ

   価値無いんで」

 

 

思わず笑いそうになる私

 

純金の板とかなら財産として運用出来るけどねぇ!

こんなもんこんなもん!!!

 

 

母「これは水晶でしょう!?」

 

 

それは私がガラスだと判断した・・・

 

 

男性「いえ?

   ガラスじゃないですかね」

 

私「ほらな!?」

 

 

思わず声が出てしまった・・・!

 

 

な!?

 

水晶は中までしっかりひんやりしていて

ガラスとは全く違うんだよ!

 

そこを見抜けないなんてもぉー

ほんと困った人なんだから!

 

 

母「・・・・・・・・・(しょぼん)」

 

 

明らかに落ち込む母

 

 

母「あ!あのね!

  こんなのもあるんだけど!?」

 

 

母が取り出したのは

消印が押され

封筒やらハガキから剥がされた状態の切手が入った

分厚いファイルだった

 

 

男性「あぁー消印押されてるのは駄目ですね

   絵葉書とかそういう物で古いのがあれば

   ある程度値段がつく事もあるんですけど

   新品もあるけどこれもシートじゃないから駄目ですね

   ご自分でどんどん使った方が良いですよ?」

 

 

「ほら!!!」と言いたかったけれど

さすがに母が可哀相になってきて言えなかった

 

 

母「自分で・・・使うって・・・?

  ははっ・・・誰に何送るの・・・」

 

 

げ・・・

 

元気出せって!

 

 

私「あ、古銭類もあるんですけど

  これらもほぼ等価以上の価値は無いですよね?」

 

男性「そうですね

   今は収集している人も多いですし

   よほど希少な物でないと・・・

   銀行で両替して貰うのが良いでしょうね

   あぁ金貨があれば別ですが」

 

私「はーい(ですよねー!)

  あ、あと着物もあるんですが」

 

男性「1箱2,000円とか3,000円くらいですかね」

 

母「はぁ!!!?

  1箱!?」

 

男性「そうですね

   よほどの事が無い限り大体そのくらいです」

 

 

そんなもんなんだって!!!

 

自分では宝物と思っていても

案外世間一般ではただのゴミなんだって!

 

 

私「じゃあ着物」

 

母「じゃあ持って帰る!!!」

 

 

・・・・・・・・・え

 

 

母「そんな安く買い取られるくらいなら

  持って帰って大事にする!!!」

 

 

えぇぇぇええええ!!!?

 

 

まさかの逆効果ぁぁあ!?

 

 

価値が無い物なら持っていても仕方ないから

さっさと手放してしまおう

とはならないのぉ!?

 

 

ただこの時

 

すっかり壊れてしまっていた貴金属のいくつかは

その場で買い取って貰った

 

2万円分くらいだったかなぁ

 

 

すぐに元気を取り戻した母と

実家に戻り

 

せっかく車に積み込んだ

着物が入った重い段ボールを必死に運んでいると

 

 

母「もうこれ

  人にあげようと思う」

 

私「!!!

  あら!?どうしたの!?」

 

母「あんな安く買い叩かれるくらいなら

  こういう布で物作ったりしてる人に

  ただであげた方がマシだ」

 

 

あっ

 

なんか

ちょっと可哀相・・・

 

 

だけど良いと思うよ!?

 

着物に限らずこういうのがまだまだたくさん

信じられない程この家には眠ってるからね!

 

貴女が死んだあと

片付ける事を考えたら

今のうちにどうにかしておいてほしいからね!

 

 

私「そう?

  そうだね

  そうすると良いよ」

 

 

ようやく着物だけは片付くのか!

と思うと少し気が楽になり

 

上機嫌で段ボールを運んでいたが

 

 

ふと気付いた

 

 

そう言えばこの家

 

謎に手作りの布で出来た下駄とかあったな・・・?

 

 

 

ハッ!!!

 

 

まさか!!!?

 

 

 

私「ちょっと待って!!!?

  この布を渡した結果

  それで作ったバッグだのなんだのが増えるのは困るからね!?」

 

母「・・・・・・・・・・・」

 

 

あぁぁぁっ・・・!!!

 

 

この家は

こうして荷物が増える一方を繰り返してきたのか・・・!!!