むしろ面白くて好きだった

 

皆様こんにちは

LUKAでございます

 

 

先日

突如新鮮なピーマンを素焼きで食べたい衝動に駆られ

20時に家を飛び出した

 

 

普段あまりピーマンなんか

食べたくなる事も無いんだけれど

稀にこんな風に

 

「うわぁナス焼いて醤油とおろしショウガでが食いてぇ!

 今すぐに!」

「うわぁレタス丸かじりしてぇ!

 今すぐに!」

「うわぁキュウリにもろみ味噌つけてバリバリかじりてぇ!

 今すぐに!」

 

という若干狂気じみた野菜欲求衝動に駆られる事があり

こうなってしまうと最後

 

それを今すぐ食べずにはいられなくなる

 

 

食べるまでずっと

そわそわしちゃうから

家に無ければ買いに走るしかなくなる

 

 

ただね

 

私が住んでいる所は本当に田舎なんですよ

 

 

20時なんて

んまぁー店が開いていない!

 

 

ちょっと車を走らせた場所にある

21時まで開いているスーパーへ行く羽目になる

 

 

くっそ・・・!

今回の衝動はまさかの夜かよ・・・

 

日中だったらよかったのに・・・

 

 

そんな気持ちで

車で山(家)から降りて

割と建物が立ち並ぶ町の中を走り始めた

 

 

その瞬間

 

妙な気持ちになった

 

 

 

働いていた当時は

その職場もかなり辺鄙な場所にあり

山から山への移動みたいなものだった

 

そこから少し離れた場所に

夜遅くまで開いているスーパーもあり

帰宅時に今回通っている道路を走る事はほぼほぼ無かった

 

 

 

真っ暗!!!

 

 

 

まだ20時だというのに

まるで廃墟の町にでも迷い込んだかのように真っ暗!

 

街灯もまばらで

歩いている人なんて全く居ない

 

走っている車の台数も両手で数えられる程度のものである

 

 

 

いやー

過疎が進んだ町ってのはまたこう・・・

 

何とも異様なものですなぁ・・・

 

 

そんな事を考えながら車を走らせていたが

ふとある思い出がよみがえって来た

 

 

ガラス工房で働いていた際

遠出が大好きな女性が居た

 

社長よりも20歳以上も若い奥さんで

その女性はよく

出張をする人を車に乗せて運んだりもしていた

 

 

ある時

 

私もその女性の運転で出張へ行く事になった

 

 

帰りは電車になってしまうけれど

目的地までは車で大体3時間ほどかかる

 

自分で運転せずに景色を眺めていられるというのは有難い

 

 

目的地へ向かって走り出したその途中

女性がこんな事を言い出した

 

 

女性「ルカさん連れて行きたい所あるんだ~」

 

 

・・・え?

 

何?

 

私どこへ連れて行かれるの?

 

 

今日は現地に到着したら視察だけで

制作指導やら内装の提案は明日からのつもりだったし

時間的な余裕ならあるけれど・・・

 

 

ガラス工房の社長や奥さんは

大層作り手に理解を示してくれる人達だった

 

ガラス製品に限らず

とにかくあらゆる物を見せてくれる

 

 

それは時に景色であったり

それは時に動物であったり

 

 

物を作る人って

そういった物を見ると

パッと何かをひらめいたりするんですよね

 

店頭で売られている物や

他の誰かが作った物はあくまでも参考程度で

「あぁ今こういうのが流行っているのか」

「へー凄いね」

という感想をいだく程度である

 

 

いまだかつて見た事が無い景色や

いまだかつて見た事が無い動物を見せて貰った方が

よほど脳に刺激が与えられる

 

 

という訳で

その女性が私を車に乗せて訪れたのは

 

 

 

水に沈んだ廃墟の町だった

 

 

 

そこはかつて

火山の噴火の影響で廃墟となったらしく

地面がところどころ大きく沈み

溜まった水の中から信号機が少しだけ見えていたり

 

消防署が水没したりしていた

 

 

はぁー・・・

なるほど・・・

 

これはまた・・・

 

 

バッグからインスタントカメラを取り出した私

 

 

当時私は

常にインスタントカメラをバッグの中に2つほど入れて歩いており

「これは二度と見られないかも知れない」

「絵を描く時の資料になるかも知れない」

と思うような物を見付けた時は

写真を撮っておく癖があった

 

今ではすっかり携帯電話のカメラに頼りっぱなしだけれど

当時の携帯電話のカメラは

まだそれほど画素数もよろしくなかったんじゃないかな

 

 

カメラを手に

ぼーっとしながら歩き回り

1時間ほど写真を撮り続けた私

 

 

 

ひび割れた道路やら

放置されたままの道具たち

崩れかけながらもいまだ原型を保っている建物を見ていると

かつてそこで暮らしていた人達の姿が見えてくる気がする

 

 

なるほど・・・

 

 

これはなかなか素晴らしい場所へ連れてきてくれたものだ

 

 

 

自然の驚異を感じつつ

哀愁漂うその景色に見とれてしまった

 

 

 

ゆっくりと写真撮影をして車へ戻ると

女性がすかさず車から降りて来た

 

 

車から降りる際

こんな会話があった

 

 

私「へぇこんな場所があるんですか

  ありがとうございます」

 

女性「まーあたしも実際見た事は無いんだけどね」

 

私「そうなんですか?

  じゃあ行きましょうか」

 

女性「あ、いやあたしはいい!

   ルカさん好きなだけ見てきていいよ!

   あたし仮眠取ってるから!」

 

私「え・・・?そうですか?

  じゃあ出来るだけ早く戻りますね?

  ・・・いやでも時間ならたっぷりありますし

  仮眠は後でとって一緒に行きません?」

 

女性「いやいやいやいやほんっと!ほんっと気にしないで!

   何時間でも見てていいから!

   これでまた新しい商品とか考えてくれたら

   それだけでオッケー!全然オッケー!」

 

 

私が一緒に見に行こうと誘うと

焦ったように断っていた

 

 

車から降りた彼女は

 

私に向かって

 

 

 

ミネラルウォーターと

食塩の瓶を構えた

 

 

私「・・・・・・・・え?」

 

女性「はい!両手出して~!」

 

私「え?両手出すってどう・・・」

 

 

両手を微妙に差し出すと

 

手に食塩をぶっかけられた

 

 

私「え???」

 

 

更に

ミネラルウォーターをぶっかけられる

 

 

私「うわっ!足あぶなっ!えっえっ!!?」

 

女性「ちゃんと!ちゃんと洗って!」

 

私「えっ?今これ何してるんです?」

 

女性「危ないから!!!」

 

 

何が!!!?

 

私から見たら突然塩ぶっかけて水ぶっかけてきた

貴女が一番危ないんですけど!!?

 

 

訳が分からないまま手を洗わされた私

 

 

塩分がまだ残っているせいで

何となくべたつく手も気になるし

 

戸惑いを隠せない

 

 

今私は何をさせられているの・・・!?

 

 

女性「はい!

   じゃああっちに向かって手を合わせて

   黙とう!!!」

 

私「えっ、あっ・・・はい!?」

 

 

しばし言われるがままに黙とう

 

 

あぁなるほど・・・

ここで亡くなった方もいらっしゃるから

そういう方々に対してね・・・

 

なるほど・・・

 

 

と思っていたが

 

 

女性「ねぇ肩とか重くないよね!?

   身体がだるいとかない!?」

 

私「いやそんなに歩いていないので

  すこぶる良好ですが・・・」

 

女性「変な物拾って来たりしてないよね!?」

 

私「そんな悪い事しませんよ」

 

女性「よし!!!

   じゃあ車に乗って良いよ」

 

 

・・・・・・・・え?

 

 

何だろう今のやり取り・・・

 

 

不思議な事を質問されたなぁ

と思いながらもその日を終え

 

それから数週間後

会社の事務所へ顔を出した時の事

 

 

私「そう言えば先日の廃墟の写真現像終わったんですよ

  持って来たのでもしよかったら見ませんか?

  見た事無いっておっしゃってましたよね?」

 

女性「うわぁぁぁーーー!!!

   いやいやいやいや!!!

   見ない見ない見ない見ない!!!」

 

私「え・・・なかなか美しいですよ?

  この写真なんかは気に入っていて・・・」

 

女性「だめだめだめだめ!!!

   ヤーバいの写ってたら嫌だもん!

   そんな怖いの絶対見ないから!!!」

 

 

あっ・・・!

 

 

 

そう言えばこの女性

 

私が任されている工房には

絶対に足を運ばない

 

 

何故なら私がいつも一人で作業をしている工房には

『お爺ちゃんと子供の霊が居る』

と数多の人が言っているからだ

 

初めて訪れた人ですらも

「すみませんこれ以上先には進めません・・・!」

と言って逃げたりしちゃう

 

 

そうか・・・!

 

この人幽霊だの心霊ネタだのが駄目なんだ!?

 

 

私は全然平気で

「自分が見た事が無い物は信じねぇ!」

というタイプなので

 

工房でガラス板が勝手にあり得ない方向に向かって倒れようが

ランプが風もないのに凄い勢いで

5列ぶら下がっている中の1列だけブンブン揺れようが

「だから何だっつーのよー!

 言いたい事があるなら姿を見せなさいっつーの!」

と話しかけちゃうし

 

心霊スポットにもカメラを持ってずかずか入って行って

他の人の分まで写真を撮って来てあげる

なんて事までしちゃう人間だけれど

 

 

怖い人は

本当に怖いんでしょうね

 

 

私「・・・・・・・スッ」

 

 

静かに写真を入れたファイルを差し出す

 

 

女性「サッ」

 

 

凄い勢いで後ずさる

 

 

私「・・・・・・・スッ」

 

 

静かに写真を入れたファイルを差し出す

 

 

女性「サッ」

 

 

凄い勢いで後ずさる

 

 

 

ねぇ

 

 

そんなに恐怖を感じる所に

何も言わずに「見ておいでよ」って私を一人で行かせたの!?

 

 

すっげぇ性格じゃないそれ!!?

 

私だったからよかったものの

これが貴女と同じように恐怖を感じるタイプの人だったら

泣き出してもおかしくないからね!?

 

 

全く一体どういう神経してそんな・・・

 

 

 

嫌いじゃない!