迷子の迷子の中年おばさん ~その2~

皆様こんにちは

LUKAでございます

 

 

本日は昨日の記事の続き!

 

 

窓に向かって紙を差し出し

「お願いします」とお願いしようとした私は

恥ずかしさで椅子の上で小さく身を縮めるように座っていた

 

 

もうほんと

ぜぇぜぇ変質者みたいに息切れしながら入って来たと思えば

窓に向かって話しかけているなんて

 

絶対私の前に座っている人は

今頃恐怖心でいっぱいに違いない・・・!

 

 

講師が話し始めたその瞬間

 

 

ガタガタッ!と椅子にぶつかる音を立てながら

スキンヘッドの

滅茶苦茶人相の悪い中年男性が入って来た

 

 

強面「すんません・・・!(小声)」

 

講師「あ、まだ挨拶だけなんで

   大丈夫ですよ

   かけて用紙に名前を記入して下さい

   後で回収しますので」

 

 

スキンヘッドの男性はペコリと頭を下げ

 

私から

1席間を取って椅子に腰かけた

 

 

席には番号が振られていて

先に3階の受付に到着した人から順に

番号が割り当てられて座って行く

 

 

自分が間違いなく最後の入室者だから

自分よりも後の番号に人が来ない

という確信を持って

敢えて一席間を空けて座ったのだろう

 

随分と判断力のある人なんだな

 

 

男性の右腕には入れ墨が見えており

金色のブレスレットがはめられている

 

 

どう見ても『怖いおじさん』だ

 

 

だけど

私が女性だから

気を遣って一席間を空けてくれたのだとしたら

相当に気の利く人でもあるのかも知れない

 

 

男性の座り方は

あまり行儀の良いものではなかったけれど

 

一番後ろの席で

一番窓際の席だからこそ

室内全体の様子が見渡せた

 

室内でまともに講師の人の目を見て話を聞いているのは

何と

私とその男性と

他数名の年配男性だけだった

 

 

主に女性達は

スマホを操作していて

講師の話なんか一切聞いちゃいない様子

 

 

やっぱり見た目がどんなに怖そうでも

見た目をどんなに着飾ってお行儀良さそうに振る舞っていても

こういう所で人間性が出る気がするな・・・

 

 

年配の

ましてや講師として存在している人の話は

例えどんなに自分にとって利益になる事が無かろうとも

一応しっかり聞いてみるに越した事はないのに・・・

 

 

講師の先生の話をじっくりと聞きながら

あおり運転についての話が出た時には

思わず(うんうん)とうなずく私

 

それと同時に私の視界に入ってきたのは

一席間を置いて座った強面の男性も

(うんうん)とうなずくその動作

 

 

ん?

あ!

この人もしかしなくても

すげぇまともな人だ・・・!

 

 

講習が終了し

免許証が配布され始めた

 

 

女性「〇〇さん」

 

〇〇さん「・・・・・・・・」

 

 

名前を呼ばれても返事もせずにペコリと頭だけを下げて

新しく出来上がった免許証を受け取り

スッと部屋を退室していくその様子に

 

私は何だか妙な違和感を覚えていた

 

 

名前を呼ばれたら

元気にハキハキと「はい!」って言えって

小学校で習ったんだけどなぁ・・・

 

 

女性「ルカさん」

 

私「はい!」

 

女性「こちらですね」

 

私「ありがとうございましたー!」

 

 

講師の先生と

免許証の配布をしていた女性両方に頭を下げ

免許証を受け取り

クルっと扉の方へ向いた私

 

 

女性「△△さん」

 

強面「はいっ!」

 

 

!!!!!

 

 

女性「こちらどうぞ」

 

強面「ありがとうございます!

   どうも!

   講師の方も!ありがとうございました!」

 

 

うわぁぁぁぁ!!!

 

 

めっちゃ良い人だったぁぁぁ!!!

 

 

 

なんて素敵な殿方ぁぁぁぁ!!!

 

 

 

あの室内に居た人達の中で

最もガラが悪そうな人こそ

真にモラルある人格者だった!

 

まぁ何となくあのタイミングで一席間を空けて

座った瞬間から

すげー気遣いが出来る人なんだろうな

とは思ってたけど

ここまで立派な人だったとは・・・

 

 

腹立たしいモラルが欠如した事件も多い昨今だけれど

いやぁーこういうのを見ると

世の中捨てたもんじゃないな

って思うよねー!

 

 

私もしっかりと

例え誰も見ていない所でも

ちゃんとした行いが出来るよう努めてまいらねば!

 

 

清々しい気持ちで建物を出た私は

そこで立ち止まった

 

 

駐車場

 

広いなぁ・・・

 

 

 

・・・さて

 

私の車は

どこ・・・なんだろうな・・・・・・?

 

 

 

この施設に到着した時

私は大層な錯乱状態に陥っており

精神状態が普通じゃなかった

 

迷子のダメージがあまりにも大き過ぎた

 

 

そのせいで

いつもだったら車を大きな駐車場に停めた際は

迷子常習犯の自分の為に

『出て来た時の行動』を頭に叩き込むんだけれど

(出口から出たら右へ向かって15台目を左へ曲がり

 そこから3列目 みたいな)

それを一切やらずに建物へ走り出していた

 

 

分からない・・・!!!

 

 

たかが駐車場

されど駐車場

 

自分の車を見付けるまで5分ほど

広大な駐車場内を彷徨い

ヘトヘトになりながら

 

再び途方に暮れた

 

 

 

帰れるのかな・・・?

 

 

まずは

試験場で貰った地図に再び目を通す

 

 

どこかできっと地図を見間違えたんだ

(そもそも出口が間違っていた事には気付いていない)

それさえ正しく理解出来れば

この地図を利用してお家に帰る事が出来るはず!

 

 

だけど

何度見ても更に迷子になった原因が分からなかった

 

 

もー・・・あれだ

 

女は度胸と愛嬌!!!

 

とりあえず迷子になりながらでも帰る!

 

どうしても分からなかったら

道中色々な人に聞きながら帰るしかあるまいよ!

 

 

うーん・・・そうねぇ・・・

 

 

私が住んでいる地域の方角は・・・

 

 

多分・・・

 

 

こっち!!!!!!    ?

 

 

不安で胸がいっぱいになりながらも

施設から車で出た私

 

 

多分そうだろうと思った道をただ真っ直ぐに走っていると

ものの1~2分で

見知った道に出た

 

 

あれ・・・?

ここなら完全に知ってるぞ・・・?

 

 

 

ここで気付いた

 

 

どうやら試験場は

私の目的地の道中にあったらしく

私が不安に駆られて誤ってそこに入ったのが

そもそもの間違い

 

試験場に入った時の道路へ出て

そこからただ真っ直ぐに進めば

目的地へ到着出来たのだ

 

しかし

試験場の違う出口から出た時の経路が記された地図の通りに

左折したり右折したりしながら進んだせいで

1本違う道に迷い込んでいたのだ

 

 

 

うわぁぁぁ!

地図の意味分かったぁぁぁ!!!(遅い)

 

 

 

しかし5年前の私は

途中で不安にならずに

変な道で曲がる事もなく

よくもまぁすんなり目的地へ到着出来たもんである

 

 

5年経った結果

以前よりもなお一層

自分自身が信用出来なくなってしまったんですかね・・・

 

 

さて!

 

それじゃあ次は自分の住んでいる地域に帰って

市役所に行って戸籍謄本を貰ってー

国民健康保険の手続きをしてー

厚生年金の手続きをしてー!

 

 

見知った道へ出た私は

もうすっかり不安も消えた事で

超ご機嫌だった

 

不安が消えたせいか

急にお腹が空いてきて

コンビニでおにぎりを買って頬張るほどにご機嫌

 

 

ここからはもう大丈夫だもんねー!

 

 

市役所だって何度も行った事あるしー!

 

 

 

 

市役所に

 

辿り着けなかった

 

 

多分道を2本くらい間違えていたせいか

迷い込んだ道は

一方通行の道路なんかも多くて

 

必死にぐるぐる回っている内に

民家の庭っぽい所に出る始末

 

 

えぇぇぇえ・・・!!!

 

自分が36年住んでる地域の

市役所にすら辿り着けないってどういう・・・

 

 

グルグルグルグル10分程迷子になっていると

市役所の建物が視界に入った

 

 

あ!!!

 

あそこだ!!!

 

 

だけど

道なりに進んで行くと

これまたやっぱり建物の裏側へ

 

そこには柵が張られており

どうやら反対側へ回らなければ

辿り着けないご様子

 

 

・・・が

反対側へ回り込む道が無い!

 

無いったら無い!

 

なんっかもうすっげー遠回りをしている内に

市役所がさっきどこの辺りに見えていたのかも

また分からなくなる

 

 

ちょっとぉおおお!!!

 

 

もう嫌だぁぁぁああ!!!!!

 

 

辛い!辛いよぉおおぅ!!!

 

どうして目の前に見えていた建物にすら

辿り着けないのぉおお!!?

 

 

私「こんな無能な人間に

  ゴールド免許なんか与えて良いのか!?

  交通ルールがいくら分かっていようとも

  見えている目的地にすら辿り着けないなんて

  免許云々以前の問題なんじゃないのか・・・!!?

  車の意味って・・・!!!」

 

 

あまりの自分の不甲斐なさに

絶望が止まらない

 

 

迷子になる人って

どうやったら迷子を直せるんだろう

 

死ななきゃ直らないやつなの?

 

ねぇこんな私はどうしたら良いの?

 

カーナビが導入されていると

ついつい見ちゃって

車酔いで1分後には吐くんだけど

こういう場合はどうやって対処したら良いの?

 

 

ねぇこんな私を誰が救ってくれるの・・・!!!?

 

 

 

恐らく

市役所の周りを20分はぐるぐるしていたんじゃなかろうか

 

 

この辺りで数日内に事件があったら

絶対近所の人達に

「不審な車がこの辺りをぐるぐる周ってた」

って言われるやつだと思う

 

 

市役所に到着した私は

今まで以上に

自分を信じていなかった

 

 

真っ先に案内所へ行き

全ての窓口の場所を聞いて紙にメモして

それ以外にはどこへも行かずに

トイレへ行きたいのも我慢して

全ての処理を終わらせた

 

 

不安で喉がカラッカラになって

何度も水をがぶ飲みしていたせいで

すっごく漏れそう!

 

だけどここで変な場所(ただのトイレ)へ行ったりしたら

今度は市役所内で迷子になっちゃう!!!

 

 

用事を全て終わらせて

車に戻った私は

ハンドルにおでこを押し当てながら

全力で落ち込む姿勢を取り

 

思わずつぶやいた

 

 

私「11年前

  私は一人でスムーズにここへ来て

  スムーズに処理を出来ていたはずなんだ・・・

  なのに今じゃこの有り様・・・

  脳の劣化って恐ろしい・・・

  11年前の私は迷子にもならずに目的地へ行けて

  大層賢かったんですね・・・」

 

 

何となく良さそうな表現をすると

『迷子スキルが格段に上がっている』

 

正しい言い方をすると

『馬鹿に拍車がかかっている』

 

 

すっかり落ち込んだ後は

気を取り直してエンジンをかけた

 

 

よし!!!

 

後はスーパーで買い物をして帰るぞ!!!

 

 

 

そして

車を発進させた私は

 

 

突然ふと

ある大事な事を思い出した

 

 

11年前

市役所へ行かなければならなかった私は

 

 

自分が絶対に迷子になると予想し

 

 

バスに乗って近くのバス停で降車

 

 

 

そこからタクシーを拾って市役所へ行ったのだった

 

 

 

5年前の運転免許の更新時には

インターネットで地図を出し

グーグルストリートビューで何時間もかけて

何度も経路を確認し

 

ついでに経路を印刷して

赤ペンでマークを付けた通りに進んだ

 

 

はぁぁぁっ・・・!!!

 

 

11年前の私は

ただ迷子にならずに自力で目的地へ行ける

という点で賢かった訳じゃない・・・!

 

 

 

自分の無能さをよく理解していて対策していた

という点で賢かっただけだ・・・!!!