久しぶりに笑われた

 

皆様こんにちは

LUKAでございます

 

 

子供の頃から

衣類は他人のおさがりを着せられ

ぬいぐるみも他人のおさがりを貰い受け

あまり新しい物を自分用には買って貰えなかった私は

 

新しい物に対する欲求のような物が無い

 

 

一般的な人たちは

「新しい車が欲しい!」

「新しいお洋服が欲しい!」

「新しいスマホが欲しい!」

といつだって色々な物を欲しがっているように見受けられるけれど

 

私にはそういった欲求がほぼ一切無い

 

 

 

車なんて走ればそれで良いし

 

洋服もとりあえず

流行りすたりが無いようなデザインの物を買って

ダサく見えなければそれで良い

 

スマホなんて要らねぇよ!

なんなら自宅に設置するタイプの電話機で良いくらいだ!

 

 

色々あればあったで

使いこなせれば便利なんだろうけど

今まで無くて平気だった物は

手に入れる必要性が無いと思っている

 

 

そんな私が

珍しく欲しくて欲しくて溜まらない物が現れた

 

 

それは

 

 

長靴!!!

 

 

実は私

長靴って一足も持っていないんですよ

 

 

山に入る時も

かなり足首の辺りがしっかりした作りのブーツを履いているし

 

冬の除雪作業もやっぱりブーツでやっていた

 

 

それで特に問題はなかったし

むしろ長靴だと滑って危険なシーンもありそうだ

 

 

だけど

 

長靴って便利そうに見える

 

 

男性が履いているこういう長靴!

 

 

 

・・・いや違う

 

これだと若干おしゃれ過ぎる

 

 

男性用の長靴で昔

こう・・・上の方にヒョウ柄みたいなもこもこが付いていて

すっごい昭和感漂う長靴があったじゃないですか!?

 

あぁいう長靴が欲しいの!!!

 

 

だっさぁ!!!

って言いたくなるような長靴が欲しい!

 

 

どういうシーンで履くのかっちゅーと

まぁ・・・そうね・・・

 

やっぱり山じゃないかな?

 

ダサい長靴だとこう・・・

遠慮無く汚せるじゃないですか

 

ブーツって洗うのめちゃくちゃ面倒臭いんですよ

 

ゴツゴツしてて金具とかもついているから

ブラシでこするのがちょっと面倒臭い

 

 

だけど長靴だとつるっとしているから洗いやすそうだし

多少汚れたままでも

ダサければもう気にならない

 

 

ただ足首辺りの固定感は無さそうだから

あまり急勾配の山では履けない

 

雨の後の比較的なだらかな斜面の山辺りだと履きやすそう!

 

 

それから除雪作業の時にも使えそうだよね!

 

今までは1~2年履いたブーツを

除雪用ブーツにおろしていたんだけれど

長靴があったらそういうのを考えなくて済む

 

 

長靴が欲しい!!!

 

 

 

というわけで

古い市場の裏側にひっそりとたたずむ

昭和の香り漂ういかにも古い長靴がたくさんありそうな

長靴専門店へ行ってみた

 

 

店内に入ると

店内は非常に狭く

手作りみたいな木製の棚には所狭しと長靴が並んでいて

ゴムの香りがしていた

 

 

おぉーーー

どこもかしこも長靴だらけじゃないか・・・!

 

 

奥の椅子に座っていたお爺ちゃんがのそりと立ち上がり

ゆっくりこちらに向かって歩いてきた

 

 

爺「・・・っしゃい・・・?」

 

 

なんだか不思議そうな表情で私の顔を見ている

 

 

爺「間違えて来ちゃった・・・?」

 

 

え?

 

 

私「ん?????」

 

爺「いやいや・・・

  若いお嬢さんが来るようなとこじゃないからさ・・・

  なんか・・・間違って入って来ちゃったのかと思って・・・」

 

 

あぁーーー・・・

 

なるほど・・・?

 

 

私「黒くてがっしりした長靴が欲しくて」

 

爺「うーーーーん・・・?

  自分で履くやつ」

 

私「そうです!」

 

爺「・・・女の人用のだと

  そっちの方だねぇ・・・」

 

 

お爺ちゃんが入り口付近の棚の辺りに私を案内してくれた

 

 

そこには

 

 

非常におしゃれな長靴たちが並んでいた

 

 

 

わぁーーー・・・

 

おっしゃれぇ・・・

 

 

花柄やら水玉模様の長靴

可愛い色の長靴

絶対不要な装飾がついた長靴

 

 

サイズはどれも21~25センチと

私の足にはピッタリなんだけれど

 

 

 

・・・これじゃない

 

 

 

真顔で棚を見上げて

女性用の長靴を見渡した私は

 

お爺ちゃんの後ろの方の棚を見つめた

 

 

私「・・・この・・・!

  こういうのが良いんですよ・・・!」

 

 

真っ黒で何のデザイン性も無い

いかにも大きな長靴を指さした私

 

 

爺「あっはははは・・・

  これは男性用だよ」

 

私「こういうデザインでサイズが小さいやつ

  ないですかね?」

 

爺「うーん???

  足何センチ?」

 

私「23~24くらい!」

 

爺「いやぁぁぁぁぁーーー

  25センチ以上だねぇ・・・!」

 

 

真っ黒な長靴を手に取って確かめるお爺ちゃん

 

 

狭い棚の隙間を進んで

私も必死に小さなサイズの長靴を探す

 

 

だけど

 

マジで25センチ以上の長靴しかない

 

 

試しに25センチの小さ目に見える長靴を取って履いてみたが

中がスカスカ状態で

とても履ける代物ではなかった

 

 

私「うぅーーーーん・・・」

 

爺「そっちのやつ可愛いじゃない」

 

 

そうじゃない!!!

 

 

長靴に可愛さなんて求めてない!!!

 

 

大体山に入る時の私の服装に

いきなりあの花柄の長靴とかおかしいじゃない!?

 

だっさい真っ黒な長靴じゃないとむしろ全然合わないから!

 

 

爺「こんな真っ黒な長靴

  どこに履いて行くのよ」

 

私「山ですねぇ・・・

 (棚を眺めながら)」

 

爺「・・・・・・・・・・・・山?」

 

私「もうそろそろ春に向けて

  山菜採りの準備を・・・

 (棚を眺めながら)」

 

爺「・・・・・・・・・・・・山!?」

 

私「今までブーツだったけど

  雨の後とかちょっと塩梅悪いんですよ・・・

  しみてきちゃったりするから長靴が良いかなぁって・・・

  (棚を眺めながら)」

 

爺「山なんて行ってどうするの!?」

 

私「え?だから山菜を」

 

 

ここでようやくお爺ちゃんの顔を見ると

 

 

お爺ちゃんの目が真ん丸になっていた

 

 

私「山菜採りが・・・趣味で・・・」

 

爺「あなたが!?」

 

 

えぇ!?

 

そんなに変!!!?

 

 

いやまぁ確かに身近な人たちも

私が山菜採りが趣味だって事を初めて知った時は

誰も彼もが驚くけれども・・・!

 

 

爺「あなたが山に行くの!!!?」

 

私「ふふっ

  そう

  私が」

 

 

思わず笑った

 

 

さすがにこんなに驚かれたのは初めてかもしれない

 

 

爺「はぁぁぁ~~~~!

  ・・・いやーそー・・・かい・・・」

 

 

そうなんですよ

 

変ですかね・・・

 

 

爺「いやぁーーーでもねぇ

  女性向けのサイズの長靴はみんな

  こういう・・・なんていうのかねぇ

  可愛い感じのやつしかないねぇ」

 

私「うぅーんそうかぁ・・・

  山行く時にこんな可愛いの履いて入ってもなぁ・・・」

 

爺「そういう事なら・・・そうだよねぇ・・・

  あぁそうだちょっと待って

  売れなくて下げてたやつ持ってくるから」

 

 

お爺ちゃんが何やら奥に入っていき

 

大量に棚に詰め込まれた箱をごそごそと開け始めた

 

 

10個目くらいの箱でようやくお目当ての物が見つかったらしく

それを持ってきてくれた

 

 

爺「これならどう」

 

 

箱の中から取り出されたのは

緑色の光沢が無い一足の長靴

 

一言でいえば

 

 

ダサい

 

 

私「おぉぉ!!!?」

 

爺「これ女性用なんだけど売れなくてねぇ~

  地味なのが良いならどうかと思って」

 

 

良い!!!

 

これこれ!

 

だっさぁぁ!!!

 

 

しかもメーカーを見てみると

有名な長靴の老舗メーカーじゃないか!

 

ここの長靴はちょっと高いけど昔っから評判がいい

って事は知ってる!

 

 

爺「売れ残りだから安くするよ

  うーん・・・3,000円でいいや」

 

 

マジで!!?

 

6,300円って値札貼ってあるけど良いの!?

 

 

わぁぁぁーーーい!

やったぁぁぁーーー!

 

 

大喜びでお金を支払い

ルンルン気分で長靴を受け取った私

 

 

爺「いやぁそんなに喜んでもらえると・・・

  出した甲斐あったってもんだねぇ・・・」

 

私「うれしいですよ~!

  山入る時の上着と似た色だからぴったり!

  早く履きたいなぁ~!

  早く春にならないかなぁ~!」

 

爺「そんなに山好きかい・・・」

 

私「山は良いですよぉ!

  毎年春と秋が楽しみで楽しみで!」

 

爺「ふぁははははっ!!!(大爆笑)」

 

 

えっ・・・そんな・・・

笑うほど面白い事言ってないと思うけど・・・

 

 

爺「ふぅー

  あ、買ってくれた人に

  軍手一組あげてたんだけど・・・

  (だっさいオレンジ色の線が入った軍手を取り出す)」

 

私「え!?ありがとうございます!」

 

爺「こんなの要るんだ・・・(笑っている)」

 

私「軍手は山入る時必須ですからね!

  おしゃれな薄いやつだとトゲとか貫通しちゃいますから!」

 

爺「ふぁははははっ!」

 

 

お爺ちゃんは

 

 

私が店を出て扉を閉めてからも

笑い声が外まで漏れるほど笑っていた

 

 

 

えっ・・・

 

そんなに私が山入るのって変!!!?