よく喋った日 ~その2~

皆様こんにちは

LUKAでございます

 

 

昨日の記事で

市場→薬局→歯医者

と慌ただしく動きまくっていた私

 

歯医者で治療を終えた時には

既に時刻は13時30分

 

 

お腹空いたなぁーもーーー!

 

やっぱりお昼ご飯食べてから出れば良かったかもー

 

 

歯医者を出てすぐ

私は一軒の食堂を見つめた

 

 

道路から奥ばった場所に建っている

とても小さな古びたお店

 

お客さんが入っている様子が一切無い

 

 

『定食屋』と書かれたのぼりが出ているが

正直見た目としては

『営業しているのか営業していないのか分からない』雰囲気だ

 

 

うん・・・

 

行ってみるか!

 

 

歯医者さんの駐車場から車を出して

食堂の前にある駐車スペースへ車を移動

 

 

お店の前に立ち

扉に手をかけた

 

 

ガラガラッ・・・

 

 

私「・・・・・・・・・?」

 

爺「あいいらっしゃい」

 

私「やってますよね?」

 

爺「んーやってるよぉー」

 

私「じゃあお邪魔しまーす・・・」

 

 

店内は薄暗く

 

まぁーーーなんだろ

 

すっごく昭和っぽかった!

 

 

カウンター席が数席と

小上がりもある

 

だけど木も古いし

カウンターの上部からぶら下がっているお品書きも

一体いつから?

と思うようなくたびれっぷり

 

 

店内の棚には

何だか色々懐かしい置き物が

所狭しと並べられている

 

こういう所も昭和っぽい

 

 

お世辞にも

若い人達が喜んで来るようなお店ではない

 

 

 

加えて

「いらっしゃい」

と声を掛けてくれたのは店主だろうか・・・?

 

70歳を明らかに超えていると思われるお爺ちゃんは

 

カウンターの椅子に腰かけて目の前のテレビを見つめ

 

 

綿棒で耳掃除をしていた

 

 

耳掃除て!!!

 

 

私「どこでも良いですか?」

 

爺「いいよぉ~」

 

 

案の定お客さんは皆無

 

カウンター席のど真ん中へ行き

椅子を引っ張り出すと

 

 

椅子が凄い壊れ方してた

 

 

私「おぉっ・・・椅子が・・・」

 

 

思わず声が出る

 

 

スポンジが飛び出しているのは良いとして

 

椅子の足の部分が1本グラングラン

・・・と言うかもうブランブラン

 

 

あれ?

この椅子座って大丈夫なやつ?

後ろにひっくり返ったりしないよね?

 

 

感触を確かめるように椅子に腰かけ

ようやくバランスが取れた所で

バッグを隣の椅子に置かせて貰い

正面を向いた

 

 

うわっ!!!

 

 

 

心底びっくりした

 

 

お爺ちゃんが店主だと思っていたし

お爺ちゃんしか居ないと思っていたのに

 

薄暗い厨房に真顔のお婆ちゃんが立ってた!!!

 

 

私「あ、どうもこんにちは」

 

婆「・・・・・・・・・・」

 

 

無口ぃぃーーーー!!!

 

 

お婆ちゃんが全く身動きせずに

厨房に立っている様子が気になりつつ

 

お品書きを見上げる

 

 

ラーメン600円

蕎麦600円

 

それからカレーライスにカツカレー

 

カツカレー700円かぁ

 

 

まるで10年くらいは遡ったかのような価格設定だ

 

 

刺身定食と焼き魚定食は600円!

 

うわー魅力的だなぁー!

 

 

だけど今日は・・・

 

 

私「天ぷら蕎麦!(730円)」

 

婆「・・・・・・・・」

 

 

お婆さんは無口に

 

 

黙々と調理を始めた

 

 

あれ!?

店主お婆ちゃんの方だったんだ!?

 

意外!!!

 

 

婆「ちょっと

  ピーマンと大葉

  持って来て」

 

爺「え?なんて?」

 

婆「ピーマン!大葉!!!」

 

 

やべぇ

 

すっげぇ良い雰囲気だ・・・

 

 

もう既にすっかりこのお店が気に入ってしまった私

 

こういう古臭くて汚い感じのお店って

どうにもこうにも居心地がいいんだよなぁー

 

 

後はこれで味付けが良かったら

きっと私

歯医者の後毎回来ちゃう

 

 

店内をぐるっと眺めていたが

お爺さんが不思議な行動に出た

 

ピーマンと大葉を持って来るよう

お婆さんから言われたはずなのに

何やら店の外へ行ってしまったのだ

 

 

あれ?

 

爺ちゃん?

 

 

数分後

 

 

お爺ちゃんの手には

大葉とピーマンが・・・!!!

 

 

私「えっあれ!?

  もしかして採れ立てですか!?」

 

爺「ん?」

 

私「今外から取って来たんですよね!?」

 

爺「あ、いやだったかい?」

 

私「いえいえいえいえ!

  凄く好きです!」

 

 

この瞬間

 

お爺ちゃんが満面の笑みになった

 

 

爺「あそー!?

  いやぁ今の人はそういうの嫌がる人も多いからー

  すぐ横に庭あってね!

  そこで色々育ててんのよ!(突然の上機嫌)」

 

私「へぇー!楽しみだなぁー!

  うちも実家で色々育ててるんですけど

  採れたての大葉天ぷらにしたら

  サックサクで香りも良くて美味しいんですよねぇ~」

 

 

ここから

そりゃーもうたくさんお爺ちゃんとお喋りをした

 

 

爺「今回の台風60人も死んだのかい!」

 

私「そうなんですよ」

 

爺「なんでそんなに死ぬの?

  あんだけ危ない危ないってニュースで言ってたのに!」

 

私「やっぱり年配の方が多いですよねー

  それと今回は川が氾濫するなんて思っていなかった

  って方が多かったんだと思いますよ

  土砂崩れもあったみたいですし

  後はそう・・・

  ペットを飼っていて避難所に行けないから自宅に居た

  なんて方も居ましたね」

 

爺「はぁ!?

  ペット!

  ペットなんて犬畜生の為に

  自分の命危険に晒してたら元も子も無いでしょ!」

 

 

 

この人はペットを飼った事が無い人だな!?

 

犬畜生って言葉久々に聞いたわ・・・

 

 

私「そうは言ってもペットはなかなか可愛いんですよー

  時として人間よりも可愛いんです」

 

爺「いやぁーそうなんだってねぇ!

  ペットは家族だっつってね!

  『犬』って呼んだら嫌がるんだよ

  名前で呼んでくれってね

  分かんないねぇー」

 

私「ペットは毎日同じご飯を出されても文句を言わないし

  決して飼い主を裏切らないんです

  手間暇はかかるけどただただ癒してくれるんですよ

  そう考えると可愛くないですか?

  守らなきゃならない!って気持ちになるんですよ~」

 

爺「あぁぁぁぁ~~~!

  人間はあれだもんなぁ

  子供でも何でも反抗したり色々あるもんなぁー!

  そうかそうか・・・

  そういう事なら分からんでもないか・・・」

 

 

この時点で

既に注文をしてから10分は経っているだろうか

 

働いている時だったら

「あぁもう間に合わないじゃん!」

なんて焦り始める頃だったけれど

 

時間や心に余裕があると

全然そんな気も起きない

 

 

爺「昔山から毎日降りて来る犬に

  懐かれた事あってねぇー

  毎日うちの近所のゴミ漁っては

  うちの前で食うのよ」

 

私「へぇ」

 

爺「当時は保健所の奴が悪くてねぇー

  家の前で見張っててその犬捕まえて

  「あんたの家の犬だろ

   返して欲しかったら餌代3,000円よこせ」

  って言ってきてね

  餌なんかやっちゃいないくせにそう言うんだよ」

 

私「うむ」

 

爺「当時3,000円たら大層な金額でね!

  「うちの犬じゃねぇ」

  って追い返してね」

 

 

えぇぇぇぇーーーー!!!

 

犬ぅううーーーーー!!!

 

非情ーーーーーー!!!

 

 

私「昔は野良犬もたくさん居ましたもんねぇ

  山とか海とか港へ行くと絶対居て

  道の真ん中でこっちをじっと見てるの

  小さい頃はあれちょっと怖かったなぁ」

 

爺「そうそう!

  うじゃうじゃ居たでしょ!?

  ぽんぽんぽんぽん子犬産んでなぁ!」

 

私「年中外飼いの人が多かったから

  野良犬との間に子供出来ちゃう

  なんて事もありましたよね

  今は室内でしか飼いませんし

  変わりましたよねぇ」

 

爺「今はあれだってよ

  犬外で飼ったら近所から

  「お前んちの犬うるせぇ!」って苦情くるんだってよ」

 

私「あはは

  犬は鳴く生き物なんだけどなぁ」

 

爺「だよなぁ!?

  お前んちの母ちゃんの方がうるせぇ

  って言ってやりゃいいじゃねぇか!」

 

私「お前んちの息子が乗ってるバイクの方がうるせぇ!

  ですよねぇ」

 

婆「あっはは!」

 

 

お!?

 

突然お婆さんも笑った・・・!

 

 

爺「まぁーでもほんと

  昔から比べたらどこもかしこも綺麗過ぎてなぁー」

 

私「家自体がもう綺麗ですもんね

  掘っ立て小屋みたいなの全然見ないですもん

  ぼっとん便所の汲み取り風景だって見ないですし

  あ、動物の鳴き声と言えば

  昔私が住んでいた場所だと

  毎朝ニワトリが鳴いてたんですよ

  この辺りはニワトリ飼ってる人とか居ました?」

 

爺「あぁ居た居た!

  毎朝目覚まし代わりになってたんだよ!

  そうだニワトリなぁ

  ニワトリもハトも飼ってるやつ居ねぇなぁ

  昔はそこいらにいっぱい居たのになぁ」

 

 

やっぱり時代の変化なのかぁー!

 

私が幼い頃住んでいた地域が

異様に田舎だったのかと思っていたけど

この辺りも昔は同じだったのか・・・

 

 

いやーしかしお年寄りから聞く昔の話は

本当に飽きないなぁー

 

 

そしてつくづく

生まれる時代を間違えたなぁと思うわ・・・!!!

 

 

昭和で生きてぇーーー!!!

 

 

爺「この店ももう40年やってるけど

  周りは大分変わったなぁー」

 

私「40年!凄いですね!

  ここのお店

  子供の頃から気にはなっていたんですが

  少し奥ばった場所だから入りにくくて

  でも今隣の歯医者に通ってるから

  ちょっと行ってみようかなって思って来たんです」

 

爺「あ!この間来た奴もおんなじ事言ってたな!

  ほんとおんなじ事言ってたわ!」

 

 

ここでようやく料理が完成!

 

 

大体20分くらいかかったかな?

 

途中揚げ物の良い香りで

お腹がぐーぐー鳴りっぱなしだった

 

 

出されたのは

 

大きなどんぶりに入った天ぷら蕎麦

 

天ぷらは

海老天3本

大葉3枚

ピーマン1個分となかなかの大容量

 

そして更に

 

小魚の揚げ物にキャベツの千切り・・・いや

あの太さは百切りくらいかも・・・

 

今時見掛けないくらいの太さの千・・・百切りキャベツ

 

 

それからご飯!

 

 

私「わぁーこんなに!?」

 

爺「食べれるでしょ?」

 

私「食べれるけど!

  730円でこんなにたくさん・・・」

 

 

心配・・・!!!

 

絶対これ利益ほとんど出てないやつでしょ!?

 

 

うわー

 

 

私「いただきまーす!」

 

婆「はいどうぞ」

 

爺「ゆっくり食べて行きなさい」

 

 

ありがとう!

 

 

じゃあ早速・・・

 

蕎麦つゆをレンゲですくってゴクリ

 

 

うん・・・めぇぇぇーーーーー!!!

 

 

いや

ちゃんとした評価を書くと

 

洗練された味でも何でも無くて

もっと美味しい蕎麦屋なんていくらでもあると思う

 

 

だけど

 

『おふくろの味』なのだ

 

 

洗練された味付けのお店なんて

今の時代探せばいくらでも見つかる事でしょう

 

だけど逆に

こういう味付けのお店は探すのが難しい

 

ネットが普及してから

若者たちがお店を探す時によく使うのは

ネットで高評価のお店をリサーチするという方法だろう

 

若者がよく行くお店でもない限り

ネットでこういったお店が注目を浴びる事は

まず間違いなく無いし

 

店内が汚い

お爺ちゃん耳掃除してる

お婆ちゃんめっちゃ愛想悪い

 

これらは「平気です!」って人と

「無理です!」って人で大きく分かれるポイントでもある

 

 

私は全然平気だし

なんだろ・・・すっごい落ち着いちゃう・・・

 

 

多分常連さんが多く集まるお店で

細々と営業して来たのだろう

 

 

 

くあぁぁーーー!

ちょっと濃い目の味付けがまた堪らん!

 

 

勢いよく天ぷらとお蕎麦を口に運ぶ私

 

 

爺「姉さん美味しそうに食べるなぁー!」

 

私「んぐぐっ!

  ・・・ごめんなさい!

  私食べ方が可愛くないってよく言われるんですよ!

  口いっぱいに頬張っちゃうから!

  でも美味しい物食べる時に

  そんなの気にしてられなくて!」

 

婆「まぁー・・・ふふっ」

 

爺「いやー良かったね」

 

婆「んー」

 

 

魚は・・・何だこれ?

何だかよく分かんねぇけど

外はサックサク

中はふわっふわで超うめぇ!

 

 

私「うえぇーーー!

  こんなにおいしいなんて

  今まで来なくて損してたぁー!

  焼き魚定食も気になってたんだけど

  これ来週は焼き魚定食食べに来ないとなぁー!」

 

爺「あははは」

 

婆「おかわりするかい?」

 

私「ん~~~~~・・・!

  いやでもお蕎麦の汁まで全部飲みたいから

  おかわりは要らないです!

  ありがとうございます!」

 

 

人の1.5倍はよう食べる私だけど

お腹がパンッパンになるほどの量だったので大満足

 

 

最初は愛想が悪かったお婆ちゃんだけど

帰る頃にはお婆ちゃんともお喋り出来ていた

 

 

それもそうだろう

 

 

1時間も喋っちゃったんだから・・・!

 

 

お爺ちゃんの昔話や

お婆ちゃんの「酔っ払い客あるあるトラブル」の話題

これまたお爺ちゃんの

「閉店間際に来店する客あるある」の話題で盛り上がり

店を出る頃にはすっかり15時近くになっていた

 

 

婆「じゃあ720円ね」

 

私「ん?730円だよ?」

 

婆「え」

 

爺「え」

 

私「730円て書いてあるよ?」

 

婆「やっだあたし

  さっきの客720円で取ったわ」

 

私「だーめですよーただでさえ安いんだから

  どうせ取るなら多く取らないと!」

 

爺「じゃあ来週までにお品書き

  100円くらい上乗せして書いておかないと・・・」

 

私「あ!今の無しで!」

 

婆「また来なさい」

 

爺「うんまたな!」

 

私「御馳走様でしたー!」

 

 

お店を出た私は

 

次は以前仲良しになった

酒屋(兼駄菓子屋)さんのお婆ちゃんに会いに行った

 

 

私「お婆ちゃんまた来ちゃったー!」

 

婆「あぁルカちゃんいらっしゃ~い

  ちょーど良かったさっきまでお昼寝しててねぇ

  さっき起きたとこだったのよ~」

 

私「今日天気良いですもんねー!」

 

 

ちょこちょこっと買い物しつつ

ここでも30分ほど会話をして

 

ようやく帰宅

 

 

いやー良い一日だったなぁー!

 

こうやってゆっくり色々な人から

それぞれの考え方やものの見方を聞くと

こういう色々な思想や思考が積み重なって

世の中が構築されていっているんだなぁーと実感出来る

 

私はどんな人のどんな思想や思考でも

それが人に迷惑を掛けないものである限り

全部笑顔で受け入れられる人間になりたいなぁー

 

 

そして

 

帰宅して気付いた

 

 

歯医者さんで先生からまた

「歯茎が腫れて痛くなると思うから

 鎮痛剤欲しかったらいつでも言って」

と言われていたけれど

 

歯茎なんてちっとも痛くない

 

 

 

痛いのは

 

 

喋り過ぎた喉と顎だ・・・!!!